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温暖化による不作、30年で自殺約6万人増 インドの農家への影響、米の研究者が試算

 地球温暖化の影響で、インドでは過去30年間で約6万人もの農家が自殺に追い込まれたとする論文を、米カリフォルニア大バークリー校の研究者が米国科学アカデミー紀要に発表した。高温や干ばつによる農作物被害が増えたためで、ほかの途上国でも深刻な影響が出るおそれがあると警告している。
 論文によると、インドの自殺者は年13万人以上で、世界の5分の1に上る。インドでは、降水に頼る天水農業が多く、高温や少雨による不作が、低所得層の農家では借金増となり、自殺の原因につながる。
 約50年間の自殺率や、米・小麦などの収穫、気象データを分析した。その結果、高温による収穫量への影響が最も大きくなる6~9月に気温が20度を超える場合、1度の上昇でインド全土で1日平均67人の自殺者が増加すると推計。過去30年間だと温暖化の影響で自殺者が5万9300人増えたと試算した。
 分析した研究者は「温暖化の影響を和らげる『適応』に資金を投じなければ、温暖化が進むのに伴って自殺者数がさらに増えることが見込まれる」と指摘している。

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