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コオロギ、資源化へ発進 昆虫学者の竹田さん、佐用の保育園跡で

 佐用町上石井に、コオロギを飼育し、魚のえさや昆虫食としての利用を研究する施設ができる。旧石井保育園の園舎を活用し、9月の開設に向け準備が進んでいる。昆虫学者で神戸大名誉教授の竹田真木生(まきお)さん(66)が会社を設立し「昆虫資源研究所・クリケットファーム」と名付けて開設。育てたコオロギを魚のえさとして出荷するほか、食料危機への対策として注目される昆虫食の研究もするという。

 2014年3月に統廃合で閉園した旧石井保育園は、田んぼに囲まれた集落の一画にある。町が園舎の活用プランと事業者を募集し、竹田さんが応募した。
 コオロギの飼育室は旧保育園の保育室を活用。コオロギが逃げ出さないよう二重扉に改修して飼育箱を配置する。産卵から成虫まで約1カ月かけて育てる。フグやサバのえさにもなるといい、ウナギの養殖場から「えさにしたい」と問い合わせもあるという。
 事業化するにはえさの経費が課題で、食品廃棄物や米ぬか、酒かすなどを利用できないか、種類や配合を変えて模索する。竹田さんは「昆虫は最大の未利用資源。動物や魚の飼料だけでなく、人間の食料としても昆虫は活用できる」と話す。
 遊戯室を転用する実験室では昆虫食のほか、姿形を変えて成長する「変態」など昆虫の体の仕組みの研究もする。
 竹田さんは、昆虫の多い環境を求めて20年ほど前に町内のかやぶき農家をセカンドハウスとして購入。自宅のある神戸市から通っている。指定管理者として町昆虫館の運営を担うNPO法人「こどもとむしの会」(神戸市)の事務局長も務めている。竹田さんは「昆虫をキーワードにした地域おこしとして地元に役立てるのではないか」と話している。

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