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害獣、新鮮ジビエカー 捕獲急増の梼原町、全国初導入

 イノシシやシカなどを捕獲場所の近くで解体できる移動式解体処理車(ジビエカー)が梼原町に納車された。ジビエ普及に取り組む全国団体などが開発した車で、購入は同町が全国初。「今後、販売態勢も確立し、ジビエグルメのまちづくりを目指したい」と町も期待を寄せている。

 ジビエカーは、一般社団法人「日本ジビエ振興協会」(長野県)とトヨタ自動車の子会社「長野トヨタ自動車」が共同開発。長野トヨタ自動車によると、今回納車した車両を含め既に3台が完成し、神奈川県と長野県でも導入に向けた準備が進んでいるという。
 2トントラックをベースに、捕獲した動物をつるすクレーンや高圧洗浄装置などを装備。解体後の内臓や汚水もすべて回収できる工夫も凝らした。枝肉に解体した後、5度からマイナス20度で冷蔵・冷凍できる冷蔵室もあり、一度にシカとイノシシ合わせて5頭まで処理できる。
 町の購入価格は2175万円余り(税込み)で、うち55%を農林水産省の補助金で賄った。
 町がジビエカー購入に踏み切った背景には、害獣駆除を理由にしたシカとイノシシの捕獲急増がある。
 2008年度にシカとイノシシ合わせて約150頭だった町内の捕獲数は、16年度には計約1500頭と10倍に膨れあがった。町内にシカやイノシシを解体処理できる施設はなく、鮮度が落ちるのも早いため、猟師が自家消費する以外は山に埋めるしかないのが現状だという。
 町は来年3月、集落活動センター「ゆすはら西」にジビエ肉の2次処理施設を設置する。購入したジビエカーもゆすはら西に貸し出し、町内で捕獲したシカやイノシシのうち年間400~500頭の処理と販売を目指している。
 8月12日、町役場前で納車式が開かれ、町や県、四国森林管理局などの関係者ら約40人が参加した。矢野富夫町長は「町内には林道が多く、ジビエカーが活躍できる条件がそろっている。今まで埋めてきた肉がお金に替われば新しい雇用も生まれる。大手企業とも連携しながらジビエを生かす仕組みを作りたい」と話している。

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