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動物園のニホンイヌワシ、156年後には絶滅?

京都大学野生動物研究センターの村山美穂教授らのグループが、英国エディンバラ大学や秋田市大森山動物園と共同で、動物園で飼育されているニホンイヌワシの持続性をシミュレーションしたところ、現在飼育されている二ホンイヌワシが156年で絶滅する恐れが高いことが分かった。

 

ニホンイヌワシ(Aquila chrysaetos japonica)は絶滅危惧種に指定されている大型猛禽類で、野生個体数は推定500羽とされ、保全のための研究が40年以上続いている。また、2014年時点で日本の8動物園において27羽が飼育されており、血統登録簿に基づく繁殖が推進されているが、飼育環境下での持続性については未解明だった。

 

そこでグループは、飼育27個体の遺伝的多様性を解析。また、血縁関係、繁殖可能な年齢、卵の孵化成功率、各年齢での死亡率などを血統登録簿から推定し、今後200年間で個体数がどのように推移するのかシミュレーション。血統登録簿に加え、実際の繁殖戦略(毎年3つがいを重点的に繁殖させる、近親交配を防ぐためにつがいの組み合わせに制限を設けるなど)を可能な限り再現した。その結果、今のままでは現在の飼育個体群は156年後に絶滅する恐れが高く、100年後にはミトコンドリアDNAの遺伝的多様性の68.5%、核DNAの遺伝的多様性の10.6%が失われると推定できた。

 

さらに絶滅を避ける条件を検討した結果、繁殖参加つがい数を3つがいから6つがいに増やすこと、野生から新規に2個体が10年に1度の間隔で加入することを組み合わせた場合に、200年後も100羽付近で安定して存続すると推定できた。また対策を取った場合の遺伝的多様性減少は、100年後にはミトコンドリアDNA32.8%、核DNA7.8%、200年後にはミトコンドリアDNA34.9%、核DNA9.2%に留まっていた。

 

今後、飼育下でのこうした繁殖条件の実現可能性を、動物園の担当者と検討し、より効果的な繁殖戦略を模索する必要がある。また繁殖したニホンイヌワシの野生への再導入についても、動物園関係者、野生の生態研究者、環境省と検討を進めることになる。ニホンイヌワシの全ゲノム解読も進行中であり、他の地域のイヌワシとゲノム情報を比較することで、ニホンイヌワシの遺伝的多様性や野生集団の持続性を検討することにしている。

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