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森林の水、哺乳類の種類特定 県立中央博物館の研究者ら技術開発

 森林でコップ1杯分の水をくんでDNAを分析するだけで、そこに生息する哺乳類の種類を特定できる技術を、県立中央博物館(千葉市中央区)や東京農業大学などの研究グループが開発した。熱帯雨林などで広い範囲の調査が可能になり、絶滅のおそれのある動物の生息確認や保護に役立つことが期待されている。
 同博物館によると、森林に生息する哺乳類を調べるには、自動撮影カメラを設置して撮影したり研究者が目視で観察したりと、多くの時間と労力がかかる。宮正樹生態・環境研究部長は「哺乳類の種類を特定するのは実は大変」と言う。
 一方、魚や両生類など水中の生物は、フンや体から分泌された粘液などを通じてDNAを体外に放出しており、「環境DNA」と呼ばれる。水中に溶け込んでいる量はわずかだが、遺伝子配列から種類を特定する技術が確立されている。
 研究グループは、この手法を森林動物に適用できないか検討。コップ1杯分の水に含まれる動物のDNAを解析できる特殊な技術の開発に成功したという。動物が水を飲む際に垂らした唾液(だえき)のほか、水浴び中に落ちた皮膚片などから環境DNAを採集。データベース上にあるDNAと照合し、そこに生息する哺乳類を判別するという。
 研究グループがマレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林で水飲み場の環境DNAを解析したところ、オランウータン、アジアゾウ、ヒゲイノシシなど6種類の絶滅危惧種のDNAが検出されたという。いずれも現場に設置した自動撮影カメラで生息が確認できた種で、その精度が検証できた。
 宮部長は「従来、カメラや目視でしか存在を確認できなかった森の動物の種類を、コップ1杯分の水で確認できるようになったことは画期的だ。イリオモテヤマネコなど確認が難しい希少生物の調査に役立つと思われる」と期待する。
 研究グループは今回の技術を、東南アジアなどの野生生物保護に活用する方針。インドネシアやマレーシアのほか、南米でも地元の大学や行政機関と協力して調査を進めるとしている。

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