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福島県浪江町・双葉町での国有林火災実態調査結果

今年4月29日に福島県浪江町の国有林で発生(5月10日鎮火)した林野火災の跡地における空間線量率等の実態調査の結果を取りまとめた。燃焼箇所及び非燃焼箇所で空間線量率に明確な差は見られなかったこと、土壌等とともに放射性物質が流出する可能性は低いと考えられることがわかった。

(1)空間線量率

延焼区域内の燃焼箇所及び非燃焼箇所並びに延焼区域外において空間線量率を測定したところ、明確な差は見られなかった。

(2)落葉層及び土壌流出の可能性

現地では火災後にまとまった降雨(浪江町のアメダス観測所の5月13日から16日の4日間の降水量は計101mm)があったが、土壌浸食等によって落葉層や土壌が移動した状況は確認されなかった。ただし、火災によって下草が失われ、土壌浸食が起こりやすくなっていると考えられ、引き続き注意していく必要がある。

(3)樹皮の放射性セシウム(Cs)濃度、蓄積量等

火災によって幹の一部が炭化したアカマツ3本及びスギ1本について、燃焼部と非燃焼部の樹皮のCs濃度等を測定。アカマツ2本は、燃焼部が非燃焼部に比べて、樹皮現存量(単位面積あたりの乾重量)、Cs濃度(単位重量あたりのCs量)、Cs蓄積量(単位面積あたりのCs量)のいずれも低くなっていたが、アカマツ1本及びスギでは、樹皮現存量、Cs濃度、Cs蓄積量とも燃焼部と非燃焼部の差はほとんどなかった。アカマツ2本のCs蓄積量が低下したのは火災によりCs濃度の高い樹皮表面部分が落下したか、樹木ごとの火災前のCs濃度にばらつきがあったこと等が原因と考えられる。

(4)落葉層のCs濃度、蓄積量等

アカマツ林内2箇所、スギ林内2箇所において、燃焼箇所と非燃焼箇所の落葉層(土壌表層の堆積有機物層)のCs濃度等を測定した。Cs濃度は、いずれの箇所においても燃焼箇所が非燃焼箇所に比べて高かった。燃焼により有機物量が減少してCsの濃縮が起き、その結果、Cs濃度が高くなったと推察される。

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