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バイオマス生産量を1.8倍以上にできる精密林業技術を開発

日本製紙と、東京農工大学、千葉大学のグループは、林業用土壌センシング技術、DNAマーカー育種技術、リモートセンシング技術を活用し、植林木の単位面積あたりのバイオマス生産量を現行の1.8倍以上に増やせる精密林業技術を開発した。日本製紙は今回の成果を海外植林地の木質バイオマスの生産に活用し、林業ばかりか、木質バイオマスを主要原料とする幅広いバイオマス産業の発展・強化を目指す。

 

バイオマス燃料が化石燃料に対して競争力を持つためには、原材料の低コスト化が求められる。研究グループはNEDOのプロジェクトにおいて、2013年12月から2017年2月までの約3年間、ブラジル北部にある日本製紙保有のユーカリ植林地で、大面積の土壌評価のための林業用土壌センシング技術、優良木を選抜するためのDNAマーカー育種技術、大面積バイオマス量評価のためのリモートセンシング技術の開発を行った。まず植林地において、栄養成分などの土壌情報を効率的かつ迅速に収集できるトラクタ搭載型土壌センシング装置を開発。これを用いて、土壌を迅速に評価することにより、植林木の成長に適した土地が選択でき、現行法と比較して1.3倍のバイオマス生産量の確保が可能になるという。さらに植林木がもつゲノム(DNAの塩基配列の違い)を目印(DNAマーカー)に、成長性や木質特性などの有用形質を間接的に選抜するDNAマーカー育種技術を開発。これにより、推定バイオマス生産量が現行の1.4倍以上となる優良木の選抜にも成功した。そして二つの技術を合わせると、単位面積当たりのバイオマス生産量が現行法と比べて1.8倍以上(1.3×1.4)に増やすことが可能となり、ユーカリチップ原材料費(立木費、伐採費、輸送費、切削費)を44%削減することが期待できる。またドローンや3Dレーザースキャナーを使用して、広大な植林地における高精度なバイオマス量評価のためのリモートセンシング技術を開発し、バイオマス量をより精密で高効率に測定することも可能となった。

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