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処分場の森にフクロウ一家 日の出、2年連続確認 「里山環境再生の証し」

 多摩地域の家庭ごみを埋め立てた日の出町の谷戸沢処分場の森で5月中旬、フクロウのひな1羽が巣立った。営巣と繁殖の確認は2年連続。15年間で計260万立方メートルの大量ごみを埋め立てた地はかつて、環境問題が課題だった。管理する広域行政組合は「里山の自然環境が再生された一つの指標」としている。
 営巣したのは、埋め立て地に続く里山の林に設置された巣箱。フクロウのメスの抱卵が確認されたのは3月13日で、1カ月後の4月14日に割れた卵が見つかった。ヒナは5月14日に周囲の森に巣立っていった。昨年に繁殖が見られたのも同じ巣箱だったという。
 処分場を管理する東京たま広域資源循環組合は、巣箱の天井板に据え付けた自動撮影のカメラで営巣から子育ての様子を記録してきた。ただ、去年と同じつがいかは不明という。
 1998年4月に役目を終えた処分場は、ごみを土などで覆い、サッカー場や遊水池・草地などに姿を変えた。組合は自然環境の指標として動植物の調査を建設時から続けており、オオムラサキやトウキョウサンショウウオなど希少な生き物の生息を確認した。中でもエサとなる小動物や樹林の豊かな地に生息するフクロウは、自然の再生をみるうえで重要な指標と位置づけてきた。
 多摩地域26市町の家庭ごみを焼却・破砕して埋め立てた管理型処分場は、1990年代を中心に増大する量とともに、汚水漏れ疑惑などで揺れた。その後のごみ減量化や環境対策に影響を与えたとされる。現在は後継となる近くの二ツ塚処分場が稼働している。
 処分場の自然再生を目指す組合は3月、民間の調査機関に依頼した継続調査の結果を冊子にまとめた。今回のフクロウの巣立ちの前だったが、里山の自然環境が再生されてきたと評価したうえで、引き続き環境再生と保全に向けて努めるとしている。

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