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かやふき替え公開へ 国の名勝・胡宮神社社務所

 国の名勝・胡宮(このみや)神社社務所(多賀町敏満寺)で、かやぶき屋根のふき替え工事が6月3日、公開される。
 1934年に庭園とともに国の名勝に指定された社務所は老朽化が激しく、町教委が2015年度から保存作業に着手。鋼板をかぶせていたかやぶき屋根を、元の外見に戻す工事を進めている。
 鋼板の下から出てきた元の屋根材は山間地に多いコムギワラとススキだったが、耐久性と入手しやすさを重視して琵琶湖産のヨシに変更。1・5トン積みトラック約15台分を用意。京都府南丹市の「美山茅葺」の長野直人専務(39)ら職人の作業を見学できる。
 公開は午前11時から。定員30人。問い合わせは多賀町立文化財センター(0749・48・0348)。

 ■職人・大野さん、県立大卒
 長野専務とともにかやをふいているのは、県立大を卒業した大野沙織さん(29)だ。
 人間文化学部で歴史的町並みや農村景観を研究し、彦根市内のかやぶき民家の修復にも携わった。大学院に進んだが「研究より、実際作業する方が向いている」と感じ、同社に就職した。
 現在入社6年目。胡宮神社では、合掌形に組まれた屋根木に、竹材をわら縄でくくり、すだれを敷いた上に、ヨシを積む作業を手際よく進めている。
 学生時代に資料を集めた経験は役に立っているが「器用な方ではないので、やらないと分からないことばかり。失敗しながら学んでいます」。ただの植物のヨシが屋根の形にふき上がっていく達成感が好きだという。「昔の人は賢く利用してきたんだな、と実感します」

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