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間伐材売り、地元の潤いに いなべの「木の駅プロジェクト」

 山林を手入れして間伐材を売ったお金を「地域通貨」にし、地元で使って地域も元気にしようと21日、いなべ市藤原町の山口地区で活動の中心になる実行委員会が発足した。「木の駅プロジェクト」と呼ばれ、全国で広がる森林保全の試み。県内にはすでに稼働中の地域もあるが、先行地より市民運動的な性格が強い運営になりそうだ。
 地区の集落センターにこの日午後、山林所有者やボランティア、県や市地域おこし協力隊などの約25人が集まった。地区の昔の呼び名から、活動は「いなべ木の駅 龍華驛(りゅうげえき)」と命名。駅長(代表)に就任した藤田忠幸さん(67)は「地区の多くの山が荒れ、獣害に悩んできたが、この活動で山がきれいになって地域の潤いにもなれば、ありがたい」と話した。
 間伐材の収集、出荷や収支の全体を実行委が管理する。山林所有者やボランティアらが間伐材を切り出すと、製材所へ送って木製品にしたり、製紙や木質バイオマス発電のチップ原料用に売ったりする。
 山林作業をした人には1トンあたり6千円の報酬を地域通貨で支払う。地域通貨は特定の地域内で使える金券で、協力店で買い物や飲食ができる。すでに喫茶や酒など数店が協力を決めており、使われた地域通貨は実行委が現金に換金する。
 先行地のほとんどは、作業の報酬レベルを維持するために市町などの公的補助金を積んでいる。間伐材の利用法は多くがチップ原料だ。
 だが、いなべでは、好条件で間伐材を買い取ってくれる工場を探すなどし、発足当初から報酬に補助金を使わない自立型の運営をめざしていく。木の魅力も同時に広げたいという思いから、利用法も木製品にこだわり、組み立て式のテーブルやイスなどをネット販売する計画だ。
 今後、地域の協力を広げていき、9月から実際の運用に入る。12月までの4カ月で計100トンの間伐材を切り出すことを当面の目標にするという。

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