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クニマス、秋田に「里帰り」 山梨からの10匹、無事到着

 仙北市の田沢湖の固有種クニマスが10日朝、人工飼育している山梨県から秋田へ「里帰り」した。同県富士河口湖町の西湖で約70年ぶりに生息が確認されてから7年。待ち受けた関係者は「田沢湖のクニマス復活への一歩にしたい」と決意を新たにした。
 この日、北秋田市の県水産振興センター内水面試験池に着いたのは、山梨県水産技術センター忍野支所が人工飼育していた10匹の2歳魚。全長15~20センチ、体重50~100グラムで、1匹ずつポリ袋に入れられてトラックで到着した。同試験池内の専用水槽に放された10匹は活発に泳ぎ、いずれも異常はないという。県水産振興センターの柴田理所長は「無事に着いてひと安心。元気に育てたい」と話した。
 試験池では県や仙北市職員、田沢湖周辺の住民ら約20人が搬入作業を見守った。昭和初期に曽祖父らが西湖にクニマスの卵10万個を送ったという仙北市田沢湖潟の三浦久さん(68)も駆けつけた。
 「当時も『病気の時しか食べない』と言われたほど貴重で高級な魚。山梨県の人たちに感謝の気持ちでいっぱい。この7年で亡くなった人たちに見せてあげたかった」と感慨深げに語った。
 田沢湖のクニマスは戦前、水力発電や農業用水のために強酸性の川の水を引き込んだため絶滅した。絶滅前に卵が西湖などに移植されていて生き残ったという。
 仙北市の倉橋典夫副市長は「クニマスが田沢湖を泳ぐ、本当の意味での『里帰り』は今日が第一歩。田沢湖の歴史と共に、次世代に伝えていかなくてはならない」と話した。
 クニマスは県から仙北市に貸し出す形で、7月1日に田沢湖畔に開館する「田沢湖クニマス未来館」で展示される。試験池では6月中旬まで飼育される。
 ■人工飼育は道半ば
 山梨県では、県水産技術センターを中心に2011年からクニマスの人工飼育と西湖での生態について研究を進めている。
 岡崎巧・忍野支所長(49)は研究の最終目標を「養殖技術の確立と田沢湖への里帰り」と話す。今回の10匹は15年冬に西湖で親魚を捕獲し、人工授精で育てた。
 しかし、人工飼育の研究はまだ途上だ。11年秋に西湖で産卵直前の親魚を13匹捕獲し、人工授精で飼育第1世代の稚魚約700匹を得た。最大45センチと大きく育ったが、卵や精子を持つ親魚に成熟しないという。第2世代以降の繁殖が進んでいない。
 原因について岡崎さんは「飼育水温が高いため」とみている。忍野支所では今春から一部の魚を水温が以前より低い10・5度の施設に移し、成熟させる工夫をしている。

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