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セルロース分子をつなぎ換える新規酵素を発見

東北大学の西谷和彦教授らのグループが、セルロース分子をつなぎ換える新しい酵素を発見し、セルロースエンド型転移酵素(Cellulose Endo-Transglycosylase、CET)と名付けた。CETの発見で、これまで不可能とされていたセルロース分子を植物自身の酵素によって修飾したり改変したりすることが原理的に可能となり、天然セルロース分子を常温常圧下の安全な水溶液中で自在に加工し、付加価値をもった天然素材を創出する道が拓けることになる。この成果は科学誌Scientific Reportsに掲載された。

 

植物細胞は細胞壁に囲まれている。細胞壁は、植物細胞の形を決めたり細胞の成長を制御したりするだけでなく、植物の免疫や栄養、乾燥環境への抵抗性など、陸上で植物が生存する上で必須の重要な役割を担っている。セルロースは細胞壁の主要成分であり、植物はグルコースを長く(数千から数万個)つなげてセルロースを合成している。一方、細胞壁中にはセルロース分子とよく似たキシログルカンという成分も存在し、セルロースの束と束の間をつなぎとめる働きをしていると考えられてきた。

 

西谷教授らは、1992 年にキシログルカン分子をつなぎ換える酵素を世界に先駆けて発見した。今回発見した新規酵素もその仲間の一つだが、これまで“あり得ない”と思われていたセルロース同士をつなぎ換える働き(CET活性)を持つ点が画期的だ。現時点でセルロースの人工合成は実現しておらず、人類は植物が細胞壁に蓄積したセルロースしか使えない。しかし、それをつなぎ換えて物性を変化させることが可能になると、セルロースの利用価値を紙や綿、材木を超えた高機能素材へと高める新技術の端緒になり得る。今回の発見は、常温常圧の水溶液中でセルロースから新素材を作り出すことができる道を拓いた点で、産業化に向けた重要な成果となった。

 

この研究は、学術領域研究「植物細胞壁の情報処理システム」(領域代表者、西谷和彦教授)の中で進められた。

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