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オオミズナギドリ、最大の営巣地で9割減 東京・御蔵島、野ネコ増加が影響

 東京・伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)でオオミズナギドリが激減している。島は世界最大の営巣地だが、繁殖数は約10年で9割近く減ったことが環境省の調査でわかった。増え過ぎた野ネコの影響が深刻化している。

 都心から南へ約220キロ。面積約21平方キロの小さな御蔵島は海岸に崖がそびえ、深い原生林が広がる。3月、オオミズナギドリが飛来する。昼間は海でイワシやイカを狙い、夜は森へ戻る。地面に横穴を掘って卵を産み、ヒナを育てる。
 長年調査で通う山階鳥類研究所の岡奈理子上席研究員と森へ入ると、翼と骨が転がっていた。「こんな姿をよく見る」と岡研究員は嘆く。頭をちぎられた成鳥、巣穴からひきずり出されたヒナの死骸。ネコのふんから羽毛も見つかった。
 環境省生物多様性センターの昨年の調査で、巣穴の総数は推定約224万で、繁殖に使われていたのは2・6%。繁殖数は推定11万7千羽だった。1978年には推定で最大350万羽いたが、2007年は約101万羽、12年は約77万羽と極端な減り方だ。
 主な原因は野ネコだ。監視カメラで調べたところ、人口約300人の島で、野ネコは千匹を超える可能性もある。犠牲になるオオミズナギドリは年間で少なくとも成鳥が1万8千羽、ヒナは2千羽という。
 御蔵島村では野ネコ約430匹を捕獲し不妊手術を施してきた。一昨年からは飼い主を探し島外へ出し始めたが、飼い主が足りず、捕獲や輸送に手間や費用がかかり、年12匹程度が限界だ。
 日本鳥学会鳥類保護委員会は昨年11月、野ネコ捕獲などを求める要望書を環境相と都知事、村長宛てに提出した。担当者らは「被害実態を把握し、対策を協議しなくては」と話すが、具体案はまだない。

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