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奄美群島で起きたカンアオイの急速な進化

京都大学の研究グループは、奄美群島に生育する9種のカンアオイ属植物のDNAを解析し、見た目が大きく異なるカンアオイ同士でも、DNA情報の差異が小さいことを明らかにした。9種のうち1種は奄美大島と徳之島の両島に分布し、奄美大島には他に5種の固有種が、徳之島には3種の固有種が生育している。これらは花の形や大きさ、花柄の長さ、雄しべと雌しべの数に大きな違いがあり、外部形態で明瞭に区別ができる。ところがDNAの多型を指標に解析したところ、遺伝情報のみでは種を区別するのが難しいほどDNA情報の差異は小さかった。一方で種間交雑はほぼ起きておらず、花の形を変えて訪花昆虫を違えたり、開花時期をずらすことによって、種としての違いを維持しているとみなすことができた。

 

奄美群島は歴史が古い大陸島だが、その固有植物の一つであるカンアオイ属が、ガラパゴス諸島や小笠原諸島のような海洋島と似た「急速な適応放散による種分化」を起こしていることが初めて明らかにされた。これは、奄美群島が世界自然遺産の選定項目の一つである「進行中の生態学的過程または生物学的過程を代表する顕著な見本である」ことを示しており、この地域の登録に役立つと考えられる。この成果は、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。

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