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盆栽×LED、再生の光に 村瀬貴昭さん

 日本の伝統文化である盆栽とLEDという新たなテクノロジーを組み合わせ、植物を再生させられないか。こんな意識から、直径20センチのガラスの球体で植物を栽培する作品を手がけ始めました。
 ガラスの底に5種類をブレンドした土と、養分となるコケを敷きます。松、桜、観葉植物、サボテンなど木や花の苗を植え、太陽光代わりとなる、ほとんど発熱しない小さなLED電球が照らすことで、日々成長します。
 きっかけは、6年前に近所で捨てられていたテレビのブラウン管を持ち帰り、穴を開けて土と植物を置いてみたことでした。使える物でも簡単に捨てて、ごみにする風潮への問いかけでもあったのです。様々なモノに植物を植え、当時勤めていたカフェでオブジェ風に飾ると、好評でした。
 アンティークのランプに植物を入れると、光合成によって閉じられた空間に独自の生態系が生み出されます。宅地事情で日当たりが悪い「うなぎの寝床」と呼ばれる京都の街中の民家では、植物が育つ装置としても適していました。私が「植栽家 Re:planter」と名乗っているのは、栽培容器(planter)を通した使い捨て社会への返信(Re:)という意味を込めています。
 部屋に浮かぶようにつるされているガラスの球体の植物を見ていると、日々の変化に気づかされるはずです。ガラスの上のふたを取って、霧吹きでの水やりを1~2週間に1回して、ときどき剪定(せんてい)すればいいぐらい。あまり手間はかかりませんが、持ち主の細やかさが植物に反映されます。
 

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