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米温暖化対策、見直し署名 環境規制緩和へ転換 大統領令

 トランプ米大統領は28日、オバマ前政権の地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。関係省庁に対し、国内のエネルギー開発の妨げになる規制の見直しを指示し、火力発電所への二酸化炭素(CO2)排出規制などを定めた前政権の目玉政策クリーンパワー・プランも廃止する。米国の温暖化への取り組みは、大きく路線変更することになる。
 政策の転換により、昨年11月に発効した温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で、米国が掲げた「温室効果ガスの排出量を2025年までに05年比で26~28%削減」の目標達成の見通しは立たなくなった。パリ協定からの離脱についてトランプ氏は明言していないが、中国に次ぐ世界2位の排出国である米国が積極的でなくなれば、各国の取り組みへの影響は避けられない。
 大統領令は、環境規制の緩和を前提に国内の化石燃料や原子力、自然エネルギー開発を促進。手ごろで信頼性の高い電力供給を実現することなどを最優先課題に位置づけた。トランプ氏は、署名式で「連邦政府の行き過ぎを取り除き、企業や労働者たちが前進し、競争し、成功することを認めるものだ」などと語った。
 環境保護局(EPA)などに対し、エネルギー産業の発展を妨げている規制を総ざらいするよう命じ、180日以内に最終報告を求めた。オバマ氏の温暖化対策に関する六つの大統領令や関連施策の見直しも指示。国内で石炭火力発電所の新設を難しくするクリーンパワー・プランや、化石燃料の採掘時に出るメタンへの規制強化については「雇用を殺す規制は撤廃だ」(トランプ氏)と強い表現で非難した。
 ただ、米メディアによると、規制の廃止にはトランプ政権が合理的な根拠や対案を示し、国民の意見を聞くなどの行政手続きを経る必要がある。反対する環境保護団体などが訴訟を起こすとみられ、廃止まで数年かかる可能性もあるという。

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