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石炭火力、新設を断念 東燃・関電、採算を不安視 東日本大震災後初

 石油元売り大手の東燃ゼネラル石油と関西電力は23日、東京湾岸で計画していた石炭火力発電所を断念すると発表した。将来、二酸化炭素(CO2)の排出規制が強まれば、採算がとれないと判断した。東日本大震災後、石炭火力は原発に代わる安定電源として新設計画が相次いだが、新設の中止が決まったのは初めてで、見直しの動きが広がる可能性がある。
 両社は2015年8月、東燃ゼネラル千葉工場(千葉県市原市)の敷地内に石炭火力発電所を建設することで合意し、折半出資の運営会社を設立した。発電能力は原発1基分に相当する100万キロワットで、24年の運転開始をめざし、すでに環境影響評価の手続きに入っていた。
 16年4月から電力小売り完全自由化が始まり、両社とも首都圏での電気の販売を強化している。東京電力福島第一原発の事故の影響で全国の原発が止まったこともあり、石炭火力の安い電気を手に入れて、競争力を高めるねらいだった。
 だが、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が昨年11月に発効し、日本も温室効果ガスの大幅削減を求められる。環境省はCO2を大量に排出する石炭火力の新設に難色を示す。排出量取引や炭素税などCO2排出に費用がかかる制度の導入もめざしており、石炭火力の電気が安いとは言えなくなる可能性が出てきた。建設には3千億~4千億円かかるため、東燃ゼネラルの関係者は「投資に見合う利益が得られるか見通せなくなった」と説明する。
 関電は多少の採算悪化には目をつぶっても首都圏進出の足がかりとして計画を進める意向だったが、東燃の反対で断念に追い込まれた。秋田県などで計画している別の石炭火力の新設は予定通り進めるという。

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