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トランプ色、溝残したG20 「反保護主義」「温暖化対策」消えた

 ムニューシン米財務長官は18日、ドイツで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、「我々は自由貿易を信じているが、均衡の取れたものであるべきだ」と話し、貿易赤字を問題視するトランプ政権の姿勢を強調した。G20の共同声明では議長国ドイツなどが米国に配慮して「反保護主義」の文言を削り、トランプ大統領が掲げる保護主義的な政策を抑え込めるか、懸念を残した。
 ■米、削除要求認める
 今回の声明では、昨年の声明に盛り込まれた「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言が消え、「世界経済への貿易の貢献を高めるよう取り組む」という表現に弱められた。「過度の世界的な不均衡を縮小し、格差を縮小するために努力する」とも明記。貿易赤字を減らし、自国に有利な貿易関係を求める米政権の意向を反映した形だ。
 ムニューシン氏は「反保護主義」の文言削除について、「過去の声明は必ずしも適切なものではない。我々がここで議論したことを反映すべきだ」と述べ、米国が削除を求めたことを認めた。「我々は新しい政権で、貿易では違う考えを持っている」としたうえで、新たな文言は「我々が議論したことを正しく反映している」と評価。「過度な貿易赤字がある場合は、改善することが重要だ」と強調した。
 昨年の声明にあった地球温暖化対策についての文言も削除された。温暖化対策に消極的なトランプ政権の意向が反映されたとみられる。ムニューシン氏は「トランプ大統領は(温暖化対策の国際ルール)パリ協定などについて検討をしている。それらは、首脳間で議論される課題だ」と話した。
 ムニューシン氏は初めて参加したG20について「とても生産的だった」と評価した。国際協調に理解を示した形だが、米政権の保護主義的な政策への懸念は拭い切れていない。

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