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西日本のツキノワグマの遺伝的多様性が減っている!

西日本にすむツキノワグマの三つの地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、レッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。これまでの研究から、これらの個体群では本州中部~東北地方の個体群と比べて、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)タンパク質を作る遺伝子の多様性が低いことがわかっており、過去に著しく個体数が減少したこととの関係が指摘されていた。森林総研をはじめとする各地の研究者グループが、今回新たに2001~13年に集めたツキノワグマのDNAサンプルを調べ、少し古い年代のサンプルを用いた研究結果と比較した。その結果、三つの地域個体群や近畿北部の個体群では、過去の研究で低頻度に見られた遺伝子のタイプ(対立遺伝子)の多くがなくなり、多様性がさらに低下していた。

1980年代以降の保護活動により、西中国や東中国個体群で、ツキノワグマの個体数は増えつつある。それに対して、遺伝的な多様性はかなり低下していることが明らかになった。歯の年輪を調べたところ、今回のサンプルは1980年代半ば以降に生まれた個体のものであり、なくなった対立遺伝子はその頃までに消失したことがわかった。

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