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竹チップ、キノコ栽培に一役 県森林総研、収穫増える種を確認

 竹を砕いてチップにし、キノコ栽培用の培地に混ぜると、成長が促進され収穫が増えるキノコがあることを県森林総合研究所(富士川町)が確かめた。竹の有効活用が進めば、増えつつある放置竹林の管理推進に役立つはずと期待する。
 森林総研の戸沢一宏主任研究員によると、タケノコが特産の峡南地域では農家の高齢化で手入れの行き届かない竹林が増えている。切った竹を利用して伐採費用の一部をまかない、対策促進につなげたいというのが研究の目的だ。
 県のほかの研究機関とも協力し、竹の粉末を牛や豚のえさに混ぜたり、堆肥(たいひ)をつくる際の水分調整材として竹チップを使ったりして用途を試した。
 その結果、最も有望だったのがキノコの培地に竹チップを混ぜる利用法。通常の培地はおが粉に米ぬかなどを加えてある。このおが粉の半量を竹チップに置き換えてみた。シイタケやヒラタケなどキノコの種菌(たねきん)を30種類ほど入手して実験した。ヌメリスギタケ、クロアワビタケ、アラゲキクラゲ、ヤナギマツタケは、おが粉だけの培地より収量が5%ほど増えた。さらにクロアワビタケでは収穫までの期間も通常の40日から1週間ほど短縮された。
 耳慣れない名前ばかりだが、アラゲキクラゲは通常「キクラゲ」として売られているもので、ほかも食用キノコだという。
 成長が良くなる理由ははっきりしないが、竹の煮汁を培地に加えるだけでも効果があるので、竹に含まれる何らかの成分が効いているとも考えられる。ただシイタケやナメコは逆に成長が悪くなった。効果はキノコの種類によって差があるらしい。
 課題は竹を粉末にするコストだ。通常の木材は中が詰まっているが、竹は空洞なので、かさばって運搬費が余計にかかる。また竹は硬いので加工機械も傷みやすい。竹そのものは廃棄物として無料で手に入るが、試算したところキノコ栽培用の粉末は1立方メートル当たり1万5千円になり、木材の倍近くなるという。
 戸沢さんは「竹は成長が早く、放置すると畑や造林地に広がって農林業に悪影響をもたらす恐れがある。より安価な加工法が開発され、有効利用が進むことを期待したい」と話す。

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