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温暖化でトナカイ絶滅危惧種 雪は雨に、冬の草地が凍結しエサ不足

 地球温暖化の影響が、サンタクロースのそりの引き手にも忍び寄っている。気温上昇で北極圏のトナカイがエサを取れずに餓死したり、やせ細ったりしているという論文が相次いで報告された。国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス)も温暖化でトナカイの生息数が減っているとして、新たに絶滅危惧種に分類した。
 英国やノルウェーの研究チームは今月英国で開かれた学会で、北極圏のトナカイの体重が1994年から2010年までに12%減ったと発表した。研究者は温暖化の影響の可能性があると指摘する。北極圏で気温が上昇して雪が雨に変わると、冬場に草地が氷で覆われてエサが取りにくくなるからだという。
 フィンランドやオーストリアなどの研究チームも11月、やはり気温上昇の影響で、トナカイが餓死の危機に陥っているとする論文を英専門誌「バイオロジー・レターズ」電子版に発表。13~14年にロシアのヤマル半島では約6万頭が死んだという。
 IUCNは今年公表した「レッドリスト」でトナカイを初めて絶滅危惧種に分類。絶滅の恐れはない「軽度懸念」から、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧2類」に引き上げた。約21~27年間で個体数が40%減少したと推定している。

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