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温暖化対策、ビジネスが主役 COP22、少ない水で作物栽培/発電効率2倍の太陽電池

 モロッコのマラケシュで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)では、世界中の企業が最先端の環境技術を披露した。技術革新をてこに、温暖化防止策が世界的に進められている。主役は政治からビジネスや市民社会に移りつつある。
 COP22の会議場に隣接するイノベーションエリア。期間中、世界中から企業約100社が出展し、政府関係者らに環境技術をアピールし、商談を進めた。
 太陽光や風力などの発電技術のほか、バイオエネルギー、廃棄物処理や浄水施設、農業、建築、金融など様々な分野の技術が紹介された。欧州やアフリカの企業の出展が多かった。
 鳥取再資源化研究所(本社・鳥取県北栄町)は少ない水で野菜などを栽培できる技術を出展した。土に混ぜて使う廃ガラスと炭酸カルシウムを使った小さな穴の空いた保水材だ。この素材を使って実際にモロッコでトマトとインゲン豆を栽培したところ、収穫量が2割以上増えたという。
 地球温暖化の影響による干ばつが深刻なアフリカで売り込みを期待し、出展した。同社の担当者は「環境技術を売りにしている中小企業にとって、COPは世界に発信する絶好の機会。水の問題を抱える多くの関係者と話を進めることができた」と話す。
 COPの会場があるマラケシュの南東130キロの砂漠地帯。COP開催に併せて、光をレンズで集めて発電する「集光型太陽光発電(CPV)」(出力1千キロワット)の竣工式があった。
 2030年までに発電能力の52%を再生可能エネルギーで賄う計画のモロッコ政府と、CPVを開発した住友電工が共同で実証実験をする。高温に強い化合物太陽電池が使われ、一般的なシリコン太陽電池に比べて2倍の発電効率があるという。発電できない夜間に対応するため、大型電池の併設も協議中だ。

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