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環境基金、米の撤退懸念 パリ協定、実効性焦点 COP22閣僚級会合

 モロッコで開かれている、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)の閣僚級会合が15日、始まった。地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から脱退を表明している米次期大統領のトランプ氏へ懸念が広がる中、協定に実効性を持たせるよう道筋をつけることが焦点になる。
 会議に先立ち、ジョナサン・パーシング米特使が記者会見し「市場や民間資金は、自然エネルギーの導入など低炭素の解決策へと動いている。政策ではなく経済的な理由だ」と流れが変わらないことを強調。「来週トランプ氏の政権移行チームと話し合う。その時に今度の政策が見えてくる」と話し、影響を推測するのは早いとの見方を示した。
 米国はすでに協定を締結済みで、仕組み上4年間は脱退できない。だが、政権交代後は政策担当者が入れ替わるため、参加各国は米特使の発言を額面通り受けとめていない。
 米国がパリ協定を脱退するしないにかかわらず、各国がトランプ氏の影響を懸念しているのが資金に関する問題だ。途上国の中には米国など先進国の資金援助を前提に、温室効果ガスの削減計画や、温暖化による影響の軽減策をたてているところがあるからだ。
 米共和党はすでに、国連が設けた多国間基金「緑の気候基金」からの資金引き揚げに言及している。途上国の温暖化対策支援約100億ドルを先進国が約束する中、米国は30億ドルを占める。5億ドルは今年拠出したが、残りは凍結されるおそれがある。また、国連気候変動枠組み条約事務局への拠出金を「ただちに止める」としている。
 15日始まった、パリ協定の第1回締約国会合(CMA1)では、協定に実効性を持たせるための詳細ルールを決める。だが、議論が煮詰まっておらず、いったん中断される見込みだ。

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