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三島の源兵衛川、世界かんがい遺産に 地域の清流保護、評価

 「水の都」三島市を象徴する源兵衛川が8日、国際かんがい排水委員会(本部=インド・ニューデリー)が選ぶ歴史的価値の高い「世界かんがい施設遺産」に登録された。16世紀に整備された用水路としての役割と、地域が一体となって清流を守ってきた活動が評価された。県内では深良用水(裾野市)に続いて2件目。
 同遺産は、かんがいの歴史や発展を明らかにし、施設を適切に保全するために建設100年以上の歴史的なかんがい施設を登録する制度で、2014年に創設された。
 源兵衛川は富士山からの地下水がわき出る小浜池を水源とする約1・5キロのかんがい用水路。室町時代に、地元の有力者・寺尾源兵衛氏が築造に尽力した。護岸の多くは富士山の溶岩を活用した石積みで、農業用に水温を上げるため、上流部では川幅を広く、水深を浅くしたほか、水路を蛇行させるなどの工夫がこらしてある。現在でも、中郷地区の水田142ヘクタールに配水されている。
 また、源兵衛川は1960年前後から、上流部の工業化や都市化によって水質が悪化し、どぶ川となったが、90年ごろから市民、NPO、行政、企業などが協力して川の浄化に取り組み、清流を復活させた。
 三島市、中郷用水土地改良区、環境NPOグラウンドワーク(GW)三島が連名で2015年に登録を申請したが、昨年の審査では保留となって登録されず、再審査となっていた。
 登録を受けて、GW三島は「『三島の宝』が『世界の宝』にランクアップした証しで、三島の豊かな水と緑の環境を生かしたまちづくりが世界的に評価された」、また三島市の豊岡武士市長は「源兵衛川を核とした周辺の環境保全や協働による地域づくりが推進されることを期待している」とコメントした。

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