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秋サケ漁が不振、9割減エリアも 台風?原因把握できず /北海道

 道内の秋サケ漁の定置網の水揚げが、平成に入って最少となるペースで推移し、漁業関係者の表情がさえない。専門家も明確な原因を把握できていない。
 道によると、10月20日までの漁獲量は、昨年同期より3割少ない2014万匹。12月まで続く漁はピークを過ぎ、今年の漁獲量は平成に入って最少だった1992年の2601万匹を下回る可能性がある。
 落ち込みが目立つのが太平洋側だ。日高地方の10月20日までの漁獲量は64%減の84万1千匹。中でも襟裳岬以東の岬周辺の漁獲量は93%減の1万5千匹だった。最も漁獲量が多いオホーツク海側でも昨年同期に比べて20%少ない。
 「今年こそはと期待していたが、最盛期の1割近くに落ち込んでいる」。標津漁協の担当者は声を落とす。根室海域では3割以上減っている。付近の7漁協では川にのぼるサケが少なく、資源確保のため、10月下旬から漁を自主規制している。
 台所にも影響しそうだ。札幌市中央卸売市場の場外市場にある店舗の担当者は「店頭に並べられるサケが1~2匹という日もある」と話した。
 不漁の原因は、相次ぐ台風でしけが続いて漁に出る回数が減ったことや、温度の高い水の塊が太平洋沖にとどまったことなどとみられる。ただ、道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場(恵庭市)の調査では、3年前の春に海に放流し、川に今年帰ってくるはずの「4年魚」と呼ばれるサケが少ない。これが秋サケ漁の不漁に関係している可能性もある。
 「4年魚」が少ないのはなぜか。同試験場道東センターの隼野寛史センター長(51)は、稚魚が放流された2013年に爆弾低気圧が通過し、海水温が例年より低い3度近くに下がったと指摘。「このために、えさのプランクトンが増えず、稚魚の生育に何らかの影響を与えたのではないか」と分析している。

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