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北岳周辺のライチョウ、絶滅の恐れ 150羽→20羽、研究者報告

 山梨・長野県境の南アルプスで、北岳(標高3193メートル)の周辺に生息する国の特別天然記念物ライチョウが激減している。まわりに新たな「天敵」が増えているためだ。放置すると絶滅の恐れがあるとして、環境省はライチョウを襲うテンとキツネについて場所を限定した捕獲を検討している。
 長野県大町市で16日にあった「第17回ライチョウ会議」で現状が報告された。30年以上研究を続ける中村浩志・信州大名誉教授(69)の調査では、北岳周辺で1981年に150羽を確認したが、2014年は20羽だけだった。
 中村さんによると、ライチョウは南アルプス、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山など標高2千メートル以上の高山帯に2千羽弱が生息している。このうち南アルプスには約300羽いるが、他の生息地から離れており、長く飛べないライチョウは行き来ができない。「減り続けると、この地域での絶滅が避けられない」という。
 原因は、もともと高山帯にはいないシカやテン、キツネ、サル、カラスなどが、生息域に出没するようになったためとみられる。シカは2000年ごろから現れ始め、ライチョウの餌となる高山植物を食べる。テンとキツネは登山者の増加で山小屋周辺に居着くようになり、定点カメラの映像やふんの分析から、ヒナや親鳥を襲うことがわかったという。

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