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伐採材から精油、森の葉っぱビジネス 設楽町や国、実証実験

 「木が香る木のまち」を目指して、設楽町と国土交通省設楽ダム工事事務所などは、伐採した樹木の枝や葉から精油(エッセンシャルオイル)を抽出する森林版「葉っぱビジネス」の実証実験に乗り出した。未利用の森林資源を活用し、地域の活性化を図る狙い。15日には同町で精油づくりの体験会などが開かれる。
 面積の約9割を森林が占める同町は、再生可能エネルギー「木質バイオマス」の活用を検討。一方、設楽ダム建設では、水没予定地などから約20万立方メートルの森林資源が生まれ、うち約3割は利用価値がなく市場に出回らないという。
 昨年、同町の県立田口高校林業科の3年生が、間伐材を利用した森林再生の研究、実験に取り組んだ。手作りの蒸留装置などで杉やヒノキ、イチイ、カイヅカイブキの精油を抽出し、香りのほか、菌や虫に対する効果を調査した。
 その中で、木の葉を蒸すことで強い香り成分が抽出されることや、杉の蒸留水には殺菌効果、杉とヒノキの蒸留水はアブラムシの忌避剤として利用できることがわかったという。
 町などは、「葉っぱビジネス」の構築に向け、簡単な機材で樹木から精油を抽出する実証実験に取り組むことにした。
 町企画ダム対策課の遠山雅浩課長補佐は「森林を再生し、山の仕事を増やすほか、付加価値の高いエッセンシャルオイルなどの商品開発ができれば、地域の活性化に結び付けることもできる」と話す。
 9月30日、同校の3年生7人が、伐採した杉の葉を使って精油の抽出に挑戦。チップ状に粉砕した杉の葉を小型の蒸留装置で蒸して、精油や、香りがついたフローラルウォーターを作った。生徒たちは、出来たての精油の香りを確かめていた。
 精油には抗菌・防虫、消臭・空気の浄化、リフレッシュ効果が見込まれる。女性に人気のエッセンシャルオイルとして製品化するには、1カ月ほど熟成させる必要があるという。
 同校では今後も、さまざまな植物や異なった条件下で実験を続けて、商品開発を目指す。実験に参加した山本怜奈さん(18)は「いろんな植物を使って実験してみたい。いい香りがするオイルができ、地域の産業につながればうれしい」と話す。
 15日午後1時半から同町の神田町民センターで、精油抽出の体験会と精油の効能や香りの楽しみ方などを紹介するセミナーがある。参加無料。問い合わせは、同町企画ダム対策課(0536・62・0514)へ。

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