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サンゴ、砂に潜る 鳥取環境大の講師ら発見

 海中サンゴの一種が海底の砂中に潜って生活することを、公立鳥取環境大の徳田悠希講師(35)=古生物学=らのグループがつきとめた。砂に潜るサンゴの発見は世界初という。
 このサンゴは、鳥取県沖など日本近海でみられるイシサンゴの仲間でツツミサンゴ科のタマサンゴ。直径1センチ前後の球状で、水深100~300メートルに生息し、触手で動物性プランクトンを捕食して生活する。
 徳田講師は県立博物館(鳥取市)に勤務していた2014年11月、山陰海岸学習館(岩美町、現在は山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館)でタマサンゴを飼育し始めた。サンゴ礁を形成する浅瀬のサンゴや深海の宝石サンゴに比べ、生態がよくわかっていなかったためという。
 観察の結果、球状の骨格部の周りを覆っている軟体部が伸び縮みして砂中に1~2センチ潜り、触手だけを水中に出すことがわかった。骨格部の細かいしわの中に筋肉があり、複雑に姿勢制御している様子も判明した。捕食者から身を守る行動と考えられるという。
 白亜紀後期(約8千万年前)のツツミサンゴ科の化石も同様の骨格部の構造をしており、当時から潜っていた可能性がある。徳田講師は「これまで見逃されてきた『潜る』行動を考慮に入れることで、当時の環境や進化の過程がより明らかになる」と話す。

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