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絶滅危惧種ペンギン、世界初の人工繁殖 大阪・海遊館

 海遊館(大阪市港区)は23日、ミナミイワトビペンギンの人工繁殖に世界で初めて成功したと発表した。今月上旬に孵化(ふか)したひな3羽のDNA型鑑定を研究機関に依頼。うち1羽が、人工授精によって生まれたことが確認できたという。
 ミナミイワトビペンギンは南大西洋のフォークランド諸島などに生息。国際自然保護連合(本部・スイス)が「絶滅危惧2類」(絶滅の危険が増大している種)に指定している。
 海遊館は2011年4月から人工繁殖に着手。今年は葛西臨海水族園(東京都江戸川区)のオス8羽から採取した精液で海遊館のメス3羽に人工授精させ、今月4~6日にひな3羽が生まれた。DNA型鑑定の結果、うち1羽の父親が水族園のペンギンだった。残り2羽は海遊館でつがいになっているペンギンが両親で、自然繁殖だった。
 海遊館と人工授精に取り組んできた神戸大大学院の楠比呂志(くすのきひろし)准教授(保全繁殖)によると、他のペンギンの人工繁殖は、13年に米国サンディエゴの水族館がマゼランペンギンで成功。今年4月に山口県下関市の水族館「海響館」がフンボルトペンギンで成功しているという。
 海遊館飼育担当の林成幸さん(31)は「とにかくうれしい。精子を採取したり、産卵のタイミングを当てたりすることはできるようになっていたけれど、『ひな』という結果がずっと出なかった。今後はこの技術を定着させ、種の保存に役立てたい」と話した。
 林さんと獣医師の伊藤このみさん(34)は夫婦で人工繁殖に取り組んできた。2人はペンギンを通じて仲を深め、13年に結婚。DNA型鑑定の結果は夫婦と子ども2人で喜んだ。
 林さんは「人工繁殖の成功は獣医学と飼育の合わせ技でできたこと。一方が怠けていたらできなかった。まずは来年同じことを再現できるかが勝負。妻には今後もよろしくお願いしますと伝えたい」と話した。

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