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県内最大バイオマス発電所、稼働へ 野田、雇用や林業振興にも期待

 震災で大きな被害を受けた野田村に、木質チップを燃料にする県内最大出力のバイオマス発電所が完成した。今月中旬から発送電を始め、8月から商業運転に入る。震災復興を後押しする事業と位置づけ、県沿岸部から多くの社員を雇用。未利用材の活用で林業の振興にも期待がかかる。
 運営するのは、日本紙パルプ商事と新エネルギー開発、日本生協連などが出資して設立した野田バイオパワーJP(大田直久社長)。約3ヘクタールの敷地に65億円をかけて建設した。
 出力は一般家庭2万6800世帯の消費電力を賄える1万4千キロワット。県内最大で東北では2番目の規模だ。全量を新電力会社2社に売電し、年間約26億円の収入を見込む。
 最大の特徴は「何でも燃やせる」オーストリア製ボイラーの導入だ。これまで処理に困っていた樹皮なども燃料として使える。村森林組合から調達する間伐材や輸入するパームヤシ殻などと合わせ、年間14万2700トンを燃焼する計画だ。
 従来、伐採後の山林に放置されていたドンコロ(端材)なども積極的に燃料にしていく方針で、森林整備や林業の活性化にもつながるという。また、燃えた後の灰も土壌改良の肥料やのり面補強材などとして活用できるといい、再利用サイクルの確立をめざす。
 社員26人のうち23人が沿岸中心の県内出身者で、4月には県立久慈工業高の卒業生3人を新規採用した。
 このほど現地でボイラーへの火入れ式があり、プラントが動き出した。大田社長は「復興をめざす地域に貢献し、村のランドマークとして燃え続ける存在になりたい」と力を込めた。小田祐士村長も「再生可能エネルギーの先進事例となり、震災後の産業再生への効果も大きい。復興途上の村が元気になる」と喜んだ。

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