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屋久島に新種の植物 世界遺産の登録域外 【西部】

 世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)で見つかった植物が、絶滅危惧種のホンゴウソウに近い別の新種と判明した、と神戸大大学院の末次健司特命講師(28)が発表した。島在住の写真家山下大明(ひろあき)さん(61)との共同調査で昨秋に発見。「ヤクシマソウ」と名付けた。20日発行の植物研究雑誌に論文が掲載される。
 末次さんは昨年10月、山下さんと人里近い標高100~200メートルの低地の照葉樹林を調査中に、ホンゴウソウに似た植物を見つけた。
 ほかの研究者と調べた結果、ホンゴウソウに近いが、全体が黒みがかった紫色で、雌花の花柱が多くの突起のある棍棒(こんぼう)状であるといった特徴から、過去に報告例のない新種とした。光合成をしない「菌従属栄養植物」で、原生的な森に生息する菌類から養分を取る。葉はなく、高さ3センチほどの花茎の上に丸い雄花と雌花をつける。
 屋久島の低地の照葉樹林は、落ち葉や枯れ枝を分解する菌類が豊かなため、希少な植物が次々と発見される一方、世界遺産の登録地域から外れ、開発や伐採が可能だ。末次さんは「今後も未知の植物が見つかる可能性がある」と、人里近い照葉樹林帯の保全を訴えている。

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