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コーヒーやココアの消費、他国の生物多様性損失に影響 「自覚して」

コーヒーやココア、パーム油などは、生物多様性の保全の優先度が極めて高い「ホットスポット」で生産され、損失への影響が大きい――。
総合地球環境学研究所や森林総合研究所など日欧の研究チームが、世界各国が輸入・消費している農畜産物で、生産地の生物多様性がどの程度損失する可能性があるかを評価した世界地図をつくった。

とりわけ日本は、農畜産物の消費を保全優先度が極めて高い地域に強く依存していることもわかった。研究チームの金本圭一朗・地球研准教授は「生物多様性の維持には環境負荷が小さい持続可能な農畜産業 のあり方が急務の課題。生産国だけでなく豊かな先進国の問題だと自覚することが大切です」と指摘する。

研究チームはまず、世界の陸域を約60キロ四方の約6万地域にわけ、7千種超の生物の目撃情報のデータベースをもとに、生物多様性の保全優先度を計算した。

さらに、各地域ごとに小麦や米、トウモロコシ、じゃがいも、大豆、ココナツ、パーム油、バナナ、タバコ、野菜、牛、羊、豚など48品目の生産面積や生産量を調べ、国連食糧農業機関のデータを活用してどの国がどの国から輸入しているか、国際貿易のデータと組み合わせた。

その上で、品目ごとに、各地域での土地利用と生物多様性の保全優先度がどう競合しているかを分析し、各国の生産、消費がどのような影響を与えているかを地図で色分けした。
保全優先度を「低い」「中程度」「高い」「極めて高い」の4グループにわけたところ、地球の陸域面積の4分の3程度が「中程度」以上で、3分の1が「高い」「極めて高い」となった。

「低い」と分類された土地は陸域全体の23・4%にあたるが、生産量の半分以上が「低い」地域だったのは、大麦、小麦、ヒマワリ、テンサイなど5品目だけブラジルや豪州で農畜産物の生産と生物多様性の競合が目立った。
パーム油やコーヒー、ココア、サトウキビなどは、保全優先度が「極めて高い」ホットスポットでの生産量が6割以上を占めた。

コーヒーは高所得国での生産は0・2%以下だが、消費は50%以上を占めた。

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