ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

「樵木備長炭」の窯完成、薪炭産業復活へ 年27トン生産計画

「樵木(こりき)林業」という伝統的手法による薪炭産業の復活を目指している徳島県美波町のベンチャー企業「四国の右下木の会社」が、同町北河内の山間部に備長炭の製炭窯2基を完成させた。「樵木備長炭」というブランドで海外も視野に販売していく。

県南の美波町や牟岐町は昭和の初めごろまで、関西へ向けた薪炭の供給で栄えた。原木を取る方法として行われてきたのが、照葉樹の強い「萌芽(ほうが)更新力」を生かした樵木林業。切り株から伸びた芽を適当な太さまで育て、計画的に伐採する方法だ。辺りの木を切り倒す「皆伐」とは違い、森林が健全に循環する林業スタイルとして知られる。

木の会社は、サテライトオフィスの誘致やデュアルスクールなどに取り組む地域づくり会社「あわえ」の吉田基晴社長(51)が中心になり、グループ会社として2021年4月に設立。備長炭の原木となるウバメガシなどの森づくりを進めつつ、22年1月から耕作放棄地を借りて造成し、炭窯を建設してきた。

完成した窯はれんが製。1回に原木5・5トンを焼くことで840キロの備長炭を生み出す。炭焼きは2カ月に3回のペースで、2基あわせて年間に27トンの生産を計画している。高知県内で先行して備長炭づくりをしてきた椎名洋光さん(40)を「兼務」の形で招き、製炭のノウハウを継承する。

備長炭は一般的に紀州、土佐、日向といった地名のついたブランド品が高い値段で取引されている。吉田社長は、商品名を「樵木備長炭」とした理由を、「持続可能な森づくりへのこだわりを名前に込めた。燃える燃えない、高い安いじゃなく、どんな木を使っているかで炭を選択してもらいたい」と語った。

PAGE TOP