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鈴鹿のシンボル「長太の大楠」再生へ正念場 落雷被害から2年半

落雷で2年半前に大きな被害を受けた鈴鹿のシンボルツリー「長太(なご)の大楠」が再生できるのか、正念場を迎えている。枝枯れが進み、3月下旬に枯れ枝を伐採したが、青々とした葉も少しずつ戻っている。地元住民らは、樹齢1千年超と伝わる巨木の再生力に期待を込める。

「長太の大楠」は三重県鈴鹿市南長太町にあり、県指定天然記念物でもあるクスノキの巨木だ。高さ約26メートル、幹の直径約2・6メートル。枝は四方約30メートルに伸びる。田園地帯にひときわ高くそびえる勇壮な姿は、近鉄電車の車窓からも目にすることができる。地域のシンボルとして親しまれてきたが、2020年9月の落雷で幹などに大きなダメージを受けた。

当時は、根元から空が見えないほど葉が茂っていたが、1年後に葉がいっぺんに落ちてしまう。昨年6月ごろには枝が枯れ始め、現在も痛々しい姿をさらす。

クスノキの「治療」を担当する樹木医の中村昌幸さん(52)は「数年かけて弱ってきたのは、落雷の電流が根元まで届き、木の『内臓』とも言える根の、おそらく7、8割がダメージを受けたため」と話す。

文字通り、「希望の芽」が見えたのは昨年9月。一部の枝に新芽が生え出し、緑に色づいた葉が少しずつ増えてきた。「残った根が順調に成長していれば、葉も戻るはず」と中村さんは期待する。

4月14日には、根元の周囲に堆肥(たいひ)や化学肥料などを入れる土壌改良を実施した。鈴鹿市は今後も、県からの森林整備のための交付金を使ってクスノキの治療を続けていく方針だ。

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