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PC上に仮想森林、IT林業 現地下見を省き、年3・5億円を削減

 森林面積の割合が84%と日本で最も高い高知県が、新たなITシステムを使った森林管理に乗り出す。航空機から撮影した写真などの電子データと自治体が持つ情報を組み合わせ、コンピューター上に仮想の「森林」を再現。現地に行かなくても作業計画の立案ができるようになるという。

 県の計画では、元となるのは2018年度に航空機から県内全域を撮影した航空写真。西日本豪雨での被害状況を調べるため、林野庁が測量会社に委託して撮影した。

 撮影と同時に計測した航空レーザーのデータを元に、樹木の種類や本数を分析した「林相図(りんそうず)」のほか、土地の標高や地形の起伏が分かる「地形図」を19~21年度の3カ年で作製。航空写真と合わせることで、「仮想」の山林図をコンピューター上に再現する。

 県は3月までに市町村が管理する地権者などのデータを、その森林図に組み合わせる作業を進めている。「森林クラウド」と呼ばれるシステムで、林野庁が13年度から全国で導入を推進しており、昨年度末時点で27都道県で導入されている。四国では高知が初めてという。

 システムは、県や市町村のほか、林業事業者も利用できる。現地を下見しなくても地形データから伐採作業や搬出路設置の計画などが容易になる見込みという。

 背景にあるのが林業従事者の減少だ。10年で5%ほど減り、現在は1500人ほど。一方で県内の森林は約60万ヘクタールと広い。県森づくり推進課の山本仁主幹は「現地へ行く手間を省くことができれば効率的に作業ができる」と期待する。

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