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観光客が限界を超える西表島 人気スポット1日200人に制限へ

 「奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に際し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は「観光管理」「ロードキル対策」「河川再生」「森林管理」の4点を改善するよう求めた。国と沖縄県、鹿児島県は対応方針の骨子案を作成中で、今年12月1日に世界遺産委へ改善策を提出する見通しだ。
 受け入れ能力を超えて観光客が押し寄せるオーバーツーリズムは以前から西表島の課題で、世界遺産登録に向けて1日当たりの来島者数の上限を1230人(年間33万人)と計画で定めた。だが「不十分」との指摘を受け、国と県、竹富町はあらためて考え方を整理した。島全体への人数制限を見直すほか、特定の河川や山など5地点には、それぞれ1日の上限人数を設定する方向で最終調整している。
 町自然観光課の安生浩太主幹は来島者数の上限について「水道供給能力を基に試算したが、地域や季節によって差があり、科学的に裏付けのある数字ではない」と話す。集落のある場所は遺産区域外であり、「環境への影響が懸念される遺産区域内とは同列に扱えない。メリハリをつけることが大事だ」と強調した。
新たに利用人数を制限する方向なのは、「ヒナイ川」「西田川」「浦内川源流域」「古見岳」「テドウ山」。エコツーリズム推進法に基づく特定観光資源として指定する。いずれも観光スポットとして知られ、中でも「ピナイサーラの滝」があるヒナイ川の上限は、1日200人とする方向で協議している。
 安生主幹は「法律レベルで入域を制限する」と、実効性の高さを強調する。環境に与える影響を定期的にモニタリングする考えを示し、「上限人数が不十分なら見直して再設定する」と話した。
 一方、沖縄島北部ではコロナ禍の影響で観光客の急激な増加は見られないものの、観光利用の実態を注意深く監視している。今後の来訪者数の増加を見越して、指標となるデータの収集が課題の一つ。特に林道への車両乗り入れについて注視する必要性が指摘されている。
 関係行政機関と専門家の会議によるロードキル対策のレポート案では、沖縄・奄美地方の4島全体でのロードキルの発生状況や今後の取り組みが示された。
 ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコのロードキルは、長期的に増加傾向にある。ヤンバルクイナの交通事故は、2021年は34件(前年比12件増)。世界遺産地域を横断する県道2号と東部の同70号での発生が多い。イリオモテヤマネコは1978年から2009年までは年間1、2件の年が多かったものの、5件発生した10年ごろから増加が目立つ。沖縄島北部では、一部区間での時速30キロ制限、林道の夜間通行止めの実証実験のほか、野生生物用の地下通路「アンダーパス」やヤンバルクイナの道路への進入を防ぐフェンスが設置された。
 西表島でも、アンダーパスと進入抑制フェンスの設置が進む。近年、事故が多発している西部地域へのアンダーパス設置に向け、21年から施工計画の検討が始まった。自動車の速度超過やヤマネコの路上出現を運転手に知らせるシステムの試験運用も行われている。
 レポート案では、これら従来の対策の強化と検証に加え、より効果的な手法を開発するとしている。(沖縄タイムス)

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