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原木の強度、大規模調査 紀州材ブランド向上へ 県林業試験場 /和歌山県

 県林業試験場(上富田町)は、紀州材(スギ、ヒノキ)の強度性能を原木の段階で評価するため、指標となる「ヤング係数」(変形しにくさ)を、簡易測定器を使って県内4カ所の市場で測定した。これほど大規模な調査は初めてで、試験場は「今回、原木の直径別に強度分布が明らかになった。ブランド向上にもつながる」と期待している。
 近年、住宅や公共施設などの木造建築で、強度性能が明らかな日本農林規格(JAS)製品が求められることが多くなった。JAS製品を効率的に供給していくためには「原木段階で強度性能に応じて選別することが有効」と考え、その一つとして、ヤング係数の分布状況を推測するためのデータベースを構築することにした。
 これまでの研究で、紀州材(特にスギ製材品)のヤング係数が全国的に見ても高いことが確認されているが、原木の直径別に対応したデータがなかった。
 調査は、昨年6月から今年1月にかけて、御坊、田辺、龍神、新宮の木材共販所で計1万2376本を測定した。この結果、JAS等級の6区分(E50、E70、E90、E110、E130、E150)で見ると、スギはE70が最も多く、次いでE90、ヒノキはE110が多く、次いでE90だった。ヤング係数が大きいほど強度性能が高くなる。
 また、原木を直径別の3段階(20センチ以下、22~28センチ、30センチ以上)で評価すると、両樹種とも30センチを超えるとヤング係数が低くなる傾向があった。
 山裾伸浩主任研究員は「簡易測定の数値の適合性も調べている。詳細な計算で出したヤング係数と比較しても相関が認められ、おおむね信用できる結果になった」と話している。

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