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脱炭素へ、発電所新設を支援 電気利用者が費用を実質負担、経産省方針

 経済産業省は17日、発電所の新設を支援する新たな制度をつくる方針を明らかにした。市場を通じ、将来なるべく安く新たな発電所を設置・運営できる事業者を選び、設備投資を後押しする。温室効果ガスの削減に役立つ電源に支援対象を絞る方向で議論する。
 17日にあった「持続的な安定供給体制の構築」を話し合う有識者会議で同省が方針を示し、了承された。
 新たな支援策は、いまある「容量市場」の仕組みを活用する。容量市場は、将来の電力不足を防ぐため、4年後に一定の発電能力を維持するのにいくらかかるかを事業者間で競ってもらう。そのうえで、一定の価格を下回った事業者が発電能力を維持できるよう、全国の電力小売事業者などがその費用を負担し、実質的には電気利用者が支える仕組みだ。新たな支援策では、支援対象を新設する発電所に限り、建設費や将来の複数年にわたる発電能力の維持費を競ってもらう仕組みを加える。
 いまの容量市場では、二酸化炭素(CO2)を多く出す既存の石炭火力なども支援対象となる。非効率な古い発電所を温存し、脱炭素化の足かせにもなりかねなかった。
 新たな支援策の対象は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという政府目標と電力の安定供給の両立に役立つものとし、具体的には今後決める。この日の会議資料で例示されたのは、CO2を出さない「水素発電」と、CO2を分離・回収する「カーボンリサイクル」技術を使った火力発電所だった。ただ、経産省幹部は、発電時にCO2を出さない原発も「対象から排除しない」としており、実質的な原発支援策になるだけに、議論を呼びそうだ。

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