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伝統技術、再認識に喜び 「茅採取」ユネスコ無形遺産に つくばの団体「力に」/茨城県

 ユネスコが17日に無形文化遺産への登録を決めた「伝統建築工匠(こうしょう)の技」には、茅葺(かやぶ)き屋根や牛馬のえさなどに用いる茅の育成に関わる「茅採取」も含まれる。つくば市に事務局を置き、この伝統技術の保存につとめる日本茅葺き文化協会の関係者からは「途絶える寸前の技術を再認識してもらう上で力になる」と喜びの声が上がった。
 同協会は2010年の設立。全国の職人や研究者ら約200人で構成し、伝承者の養成や茅葺き文化の調査研究などを進めている。18年には、文化財保護法に基づく国の選定保存技術「茅採取」の保存団体として文化庁に認定された。
 茅採取は、ススキやヨシなどを育成し採取する技術。乾燥や保存、選別のほか、茅場の維持管理など一連の作業に伝統的な知恵と技が求められるという。
 協会の代表理事を務める安藤邦広・筑波大名誉教授は、茅は屋根に使われた後に田畑の肥料に再利用されるなど、持続的な農業の基盤だったと指摘。「地球温暖化の原因となる二酸化炭素も吸収する。茅の文化を守ることは、伝統の保存だけでなく未来の環境保全にも寄与するもので、今回の登録を機に新たな決意で取り組みたい」と話した。
 つくば市の五十嵐立青市長は18日、協会に向けて「会の活動は未来に向けて大変意義あるものと敬服している。つくば市内を拠点とする会が世界に認められたことも誇らしい」と祝辞を贈った。
 ユネスコの無形文化遺産は、08年に能楽や歌舞伎、人形浄瑠璃文楽が登録されたのを皮切りに、10年には茨城・栃木両県の「結城紬(つむぎ)」も登録されている。

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