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木造建築の技、無形遺産登録へ

 奈良・法隆寺など木造の歴史的建築遺産に欠かせない保存修理を支えてきた「伝統建築工匠(こうしょう)の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。文化庁が17日、事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと発表した。12月中旬に予定される政府間委員会で正式に決まるとみられる。
 1712年創業の宮川屋根工業(京都市)は、ヒノキの皮や木の板を重ねて屋根を葺(ふ)く檜皮葺(ひわだぶき)やこけら葺(こけらぶき)などの伝統技術を駆使し、北野天満宮や清水寺、八坂神社など京都の社寺を中心に工事を手がけてきた。全国社寺等屋根工事技術保存会(京都市)は後継者育成に力を入れてきた。
 国宝や重要文化財(重文)の絵画や書跡の保存修理を専門とする国宝修理装こう師(そうこうし)連盟(京都市)。数百年を経て湿気やカビ、腐食などで傷んだ掛け軸や屏風(びょうぶ)、障壁画など紙や絹を中心とした国指定の文化財を修理してきた。奈良県明日香村の高松塚古墳の繊細な国宝壁画の修理も担ってきた。
 日本うるし掻(か)き技術保存会は、国産漆の一大生産地の岩手県二戸市に拠点を置く。かつて国産漆は輸入品に押されて生産量が減り、漆掻き職人の数も減ったが、2015年に文化庁が国宝や重文の建造物修理で原則、国産漆を使うように通知したことなどで需要が増えた。二戸市と保存会は職人育成のための研修を実施し、県内外の希望者を受け入れ、保存会の職人も増えてきたという。

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