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クマ対策、来季へ徹底 上高地のキャンプ場、人身事故受け環境省 /長野県

 ツキノワグマによる人身事故で一時閉鎖した北アルプスの玄関口・上高地(松本市)の小梨平キャンプ場が3日の宿泊で今季の営業を終えた。テント内の食料目当てだったとみられ、食料やゴミの管理に加え、クマが隠れられるササを刈るなどの対策を徹底すると、被害はなくなった。環境省は「来季は上高地全体で対策を取りたい」と話す。
 事故は8月8日深夜に起きた。寝ていた50代女性がテントごと引きずられ、右足をけが。ザックの中の食料はきれいに食べられており、キャンプ場は翌日から閉鎖に追い込まれた。
 同省によると、複数のクマによる食料荒らしはキャンプ場の営業開始直後の7月下旬から始まった。8月4、6日の2回、周辺のわなにクマがかかり、山奥に放した。13日には人身事故を起こしたとみられるクマが捕獲された。
 1度でも人の食べ物の味を覚えてしまったクマは、再び食料を得ようとそのエリアに出没するようになる。クマが餌付いたことが今回の事故の原因と考えられた。事態を重く見た同省上高地管理官事務所は、キャンプ場と再発防止策を練った。
 まず手を付けたのは、ゴミを含めた食料管理の徹底だ。キャンプ場事務所棟前にある開閉式の木製ゴミ箱は、ブルーシートで覆って使用中止に。代わりに金属製の分別用ゴミ箱を設置(夜間は屋内に収容)。また、テント内を空にしようと新たに共同の食料庫を設けた。庫内でネズミに荒らされないようにプラスチック製ケース(9リットル)のレンタルも始めた。
 さらには「クマの隠れ場所をなくすため、ササを約2千平方メートル刈った」(同キャンプ場の斉藤正仁支配人)ことに加え、見通しをよくしようと最大250のテントを張れるところ70張り程度に制限した。
 一方、利用者にはキャンプ場近くのビジターセンターで毎日2回実施される講習「上高地のクマ」の受講を呼びかけ、自身でクマ対策を徹底する旨の誓約書を求めた。
 こうした再発防止策が整ったことから、9月7日に事務所棟近くのエリアで1カ月ぶりに営業再開。これまで幸いクマによる食料荒らしなどの被害は起きず、一定の成果は上がった。

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