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コウホネ、全滅の沼に希望の1輪 稚内・国立公園内の施設 /北海道

 稚内市の利尻礼文サロベツ国立公園内にある浜勇知(はまゆうち)展望休憩施設「こうほねの家」前の沼で、コウホネ1輪が花を咲かせた。自生種が全滅した後、水環境を改善し、別の沼から移植した2株のうちの1株だ。市などは8月末、「観光名所の復活」に向けて本格的な移植を検討する。
 コウホネはスイレン科の多年生植物で、水中から茎を伸ばす。7月ごろ、水面に黄色い花を咲かせる。沼(周囲約400メートル)のコウホネはネムロコウホネという種類で、かつては沼一面に咲いていた。だが年々、砂浜の浸食が進み、沼の水位が低下。沼と海岸との間は10メートルほどになり、高波で海水も入るようになった。
 市は2003年から、地下水をくみ上げて沼の水質を保っていたが、それでも花の数は年々減少。そんな折、ポンプのモーターが落雷で故障してしまった。すぐに修復しなかったため、沼は干上がり、その夏、花は咲かなかった。
 市は昨年6月、土の中で根が生きている可能性に期待し、ポンプを復旧した。水位は回復したが、その夏も花は咲かず、株が全滅したことがわかった。沼のコウホネは約20年前、絶滅を心配して一部を近くの夕来(ゆうくる)地区と抜海地区の沼に避難させていた。市は11月、夕来の沼から2株を移植。今月に入って1株から1輪の花が咲いているのが確認された。

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