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マツタケ、さらに遠く? 松林減り「絶滅危惧種」に

 国際自然保護連合(IUCN)は9日、絶滅の恐れがある動植物などを記載したレッドリストの最新版を発表し、マツタケを絶滅危惧種として初めて記載した。食用や売買が制限されるわけではないが、保護の必要性が指摘されたことで秋の味覚がさらに遠くなる可能性がある。
 IUCNは動植物などを生息状況や絶滅の恐れに応じて「絶滅」から順に分類しており、マツタケは「絶滅危惧」のうち3番目に深刻な「危急」に分類された。
 林野庁によると、マツタケの消費量は年間1千トン前後で推移し、毎年7万~12万トン程度が消費されるシイタケやシメジなどと比べて少ない。大半は中国やカナダからの輸入もので、国産は100トン未満。不作だった2019年は統計を取り始めた1960年以降最も少ない14トンだった。
 減っている理由について、国立科学博物館の保坂健太郎さんは「健全な松林が減っているためで、採り過ぎではない。食べるのをやめたら増えるものでもなく、松林の減少を食い止めることが必要だ」と話す。
 京都の老舗料亭「菊乃井」の村田吉弘さん(68)は「私たちは土瓶蒸しやマツタケごはんの香りに色づく山々を思い浮かべ、秋の訪れを感じてきた」と話す。かつては丹波地方が一大産地だったが、年々手に入りにくくなり、値段も上がった。村田さんは、今回の記載を食のあり方を見直す機会にすべきだと考え、「次の世代、その次の世代も食べられるように知恵を出し合い、育つ環境を守っていくことが必要ではないか」という。

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