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プラ代替、商機は紙にあり 製紙大手、容器やストロー開発 レジ袋有料化が拍車

 「脱プラ」の流れを商機とみて、製紙業界は「環境に優しい」とプラスチック代替の紙製品を次々に開発している。拍車をかけたのは、海洋汚染を引き起こすプラごみの削減に向け、プラ製のレジ袋が7月から原則として有料になったことだ。背景には、印刷物を中心に紙の需要が落ち込んでいる危機感がある。
 日本製紙は今年2月、紙を使ったシャンプーなどの詰め替え容器の販売を始めた。宿泊施設向けで、従来のパウチ容器と比べてプラ使用量を25~40%減らせるという。「環境への配慮を重視するホテルから問い合わせがきている」(担当者)。
 他にも紙製ストローや、学校給食用にストローがなくても飲める牛乳パックを開発。プラ容器の代替品として、将来的に数百億円規模の売り上げを目指す。
 王子ホールディングスは1月、ネスレ日本のチョコレート菓子「キットカット」のパッケージにプラスチックの代替として同社の紙製品が採用されたと発表。昨年末には、プラ使用量を7割削減した紙製のクリアファイルを商品化した。現在はさらに耐油性や耐水性を高めた紙製の手提げ袋を開発中だ。
 こうしたプラ代替品の開発に力を入れる背景には、ペーパーレス化が進み印刷用の紙需要が減っていることがある。日本製紙連合会によると、紙と板紙を合わせた国内需要は、この十数年で2割ほど減った。特にコピー用紙やノートなどの印刷・情報用紙の減りが大きく、2019年までの20年間で3割以上減った。
 日本製紙連合会の野沢徹会長(日本製紙社長)は6月の記者会見で、「紙はリサイクルに適した素材で、環境に優しい点を世の中に訴えたい。プラ代替としての(紙製品の)使用に期待している」と話した。

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