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古民家、公共の場に再生 特殊な耐震診断法で趣生かす 大野市 /福井県

 大野市は古民家を耐震改修し、公共施設として活用する取り組みに力を入れている。今は、来年3月の完成を目指し、水に関する学習研究施設に改装中だ。古民家の近代和風建築を生かすため、特殊な耐震診断法が用いられ、13日には、この診断法などに関する見学会が開かれた。
 大野市明倫町の古民家を活用したこの施設は、「越前おおの水のがっこう(仮称)」として、来年3月22日にオープン予定だ。「名水のまち」といわれる大野の水環境をパネルなどで紹介し、大学の研究施設としても活用されるという。
 一般的な耐震診断法は、壁の量を計算して耐震性を調べるため、木材の「しなり」などの柔軟性を重視する近代和風建築とは相性が悪いという。
 そこで市は、地震による建物の変形などを測る「限界耐力計算」を導入。10月から、築69年の木造2階建ての古民家を改修している。
 この計算法だと、補強箇所が少なくて済むため、一般的な診断よりも安価に抑えられ、土壁やなげしといった独特の雰囲気を残すことが可能だ。ただし、計算が複雑で、扱える建築士が少ないという。
 県内の建築関係者や自治体職員らが集まった見学会では、今回の診断を担当した岐阜県の1級建築士・野口浩春さん(55)が、この計算法などを説明。参加者からは、「こんなやり方があるなんて知らなかった」などの声が上がった。
 市の担当者は「市内には耐震工事が済んでいない古民家が多い。家を残そうと考える人の参考にもなれば」と話した。

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