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共生林 里山・人里、隔てる境界 イノシシなど農業被害減へ 高砂・阿弥陀で整備/兵庫県

 駆除などの強制的な「排除」ではなく、野生動物と人間がすみ分け「共生」する。そんな考えに立った森林整備が高砂市阿弥陀地区で進められている。イノシシなどによる農業被害の大きな要因を里山の荒廃ととらえ、人里に近づきにくい環境にする狙いがある。
 「播磨アルプス」と呼ばれる山々に3方を囲まれた国道2号の北側。里山と人里を隔てる境界の山林約100ヘクタールを、県の東播磨県民局が整備している。
 同局によると、「共生林」は人と野生動物のすみ分けが目的。まず、木々の間隔を通常の倍近くに広げる間伐をし、幅30メートルほどの緩衝帯を設ける。人里からの見通しを良くすることで動物が隠れにくくする。さらに緩衝帯の人里側の端に高さ約1・5メートルの防護柵を設け、柵沿いに散策路も設ける。人間の匂いや気配を意識させることで、動物たちの警戒心を刺激する効果を期待する。
 県によると、この共生林の事業は06年度に始まり、昨年度までに県内各地で計4042ヘクタールが整備された。このうち22集落で聞き取り調査(09~13年)をしたところ、農地1559区画のうち8割近い1200区画でイノシシの被害が解消か減少したという。

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