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持続可能な観光、地域生かす サステイナブル・ツーリズム

 旅人が訪れることで自然破壊が進んだり、地域コミュニティーが成り立たなくなったりしないように、「サステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」という考え方に基づいた旅行プランを、提案する地域が出てきた。国連の関係機関も「責任ある旅行者になろう」と呼びかけている。
 環境負荷を減らし、地域住民にも恩恵がある観光は「サステイナブル・ツーリズム」と呼ばれる。国連の関係機関GSTCは2008年以降、観光産業と観光地それぞれに向けた国際基準をつくり、認証する制度を始めた。日本でも観光庁がこの基準に沿った日本版の指標づくりを検討している。
 背景には世界的な観光産業の急成長がある。国連世界観光機関によると、宿泊を伴う旅行者数は1980年には2億7800万人だったが、昨年は14億人に。一方、例えばクルーズ船は大量のトイレ排水などで海洋を汚染し、観光地のごみ処理量も増やす。イタリア・ベネチアでは巨大客船の寄港に反対するデモも起きている。
 国際基準は生物多様性保全への取り組みや地域住民の雇用などを求める内容で、観光地向けは100以上の項目がある。普及に取り組むNPO法人日本エコツーリズムセンターの森高一・共同代表理事によると、日本では岩手県釜石市が初めて認証に向けて取り組んでいる段階だ。

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