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盗伐、被害立証に壁 伐採業者逮捕、近年では初 国富の山林、杉7本分で立件/宮崎県

 県警は11日、国富町の山林で所有者の許可なく杉を伐採し盗んだとして、日向市の林業会社長、黒木達也容疑者(62)を森林法違反(森林窃盗)の疑いで逮捕した。発表などによると、昨年9月ごろ、国富町の女性(85)が所有する山林で、許可を得ないまま、従業員に指示して杉を伐採し、盗んだ疑いがある。
 森林窃盗の事件化はハードルが高いとされる。多くの山林では土地の境界があいまいだったり、被害に気付くのが遅れたりすることが被害立証を阻む要因となっていた。
 今回の被害現場となった山林は国富町の木脇小学校の近く。搬出前だったとみられる杉の丸太や、伐採後の土砂崩れで流れ落ちたとみられる雑木がいたるところに横たわっていた。
 被害に気付いた山林所有者の家族の男性(61)が昨年9月、県警に通報。10カ月たった今月、ようやく事件が動いた。県警生活環境課によると、伐採業者が盗伐容疑で逮捕されるケースはまれで、少なくとも被害相談が増加し始めたここ数年では初めてという。
 県警幹部は「被害関係者がよく山林に足を運んでいたおかげで被害時期を特定しやすかった。所有地の正確な境界を示す地籍図があったのも大きい」と話す。
 一方、加害者側に「盗みの意図」がなければ森林窃盗が成立しないという難しさがある。県警幹部は「加害業者に『間違って切った』と言い逃れられると刑事責任を追及できない場合がある」と明かす。
 黒木容疑者は逮捕時、「身に覚えがない」と容疑を否認。容疑者が経営する会社の担当者は事件に関する取材に「答えられない」と話したが、昨年10月、従業員の一人は国富町の被害山林について「誤って切った」と話していた。
 今回無断伐採として立件されたのは、わずか杉7本分(5万2千円相当)。

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