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網に絶滅危惧のオサガメ 黒潮沖で発見、標識付け再び海へ 生態解明に期待 /高知県

 世界的に絶滅が危ぶまれている世界最大のウミガメ「オサガメ」が、黒潮町沖の定置網で見つかった。調査した「むろと廃校水族館」(室戸市)の学芸員が標識(タグ)を付けて再び太平洋に放した。生きているオサガメが国内で確認されるのは珍しい。

 24日午前7時ごろ、同町鈴の鈴共同大敷組合の組合員が定置網にかかっているオサガメを発見した。同組合の谷儀光組合長(62)から「珍しいカメがかかった」と連絡を受けた同水族館学芸員の田中優衣さん(26)が確認した。
 オサガメはメスで全長1・27メートル。黒っぽく若い個体とみられる。けがや弱っている様子はなく元気だった。田中さんはヒレに「日本」を示す「JPN」、識別番号、「ウミガメ協議会」の電話番号など連絡先を刻印したタグを付けた。その後、漁船で沖合に運び、放流した。
 オサガメはIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に指定されている。成長すると全長約2メートル、体重が1トンになるという。主食はクラゲとされ、世界中の海を泳ぐが、詳しい生態は謎だという。
 NPO法人「日本ウミガメ協議会」の研究員でもある田中さんは「タグをつけたオサガメがどこかの国で目撃されて、回遊経路や成長ぶりが確認されるとうれしいですね」と話す。谷組合長は「真っ黒なおおきなカメだった。調査のお役に立ててうれしい」。
 ウミガメ調査を長年続けている同水族館の若月元樹館長も生きたオサガメを確認したのは初めてという。「今回のカメは人間でいうと高校生ぐらい。大きくなると軽自動車の重さになる。連絡をくれた漁師の方の意識が高かったことが今回の発見につながった。幻のオサガメの生態の解明につながってほしい」と期待している。

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