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ソテツの発熱、撮影成功 虫誘う香り、より遠くに 宮崎大など研究チーム /宮崎県

 南九州などに自生するソテツが昆虫を誘うために雄花を発熱させる様子を、宮崎大などの研究チームがサーモグラフィーカメラで撮影するのに成功した。花の香り成分をより遠くに飛ばすために熱を出すとされ、周囲より温度が11・5度も熱くなっていた。
 同大によると、発熱の様子をとらえたのは世界で初めて。ソテツは小型の昆虫に、雄花から雌花へ花粉を運んでもらっている。発熱することで匂いを合成し、昆虫を引き寄せることは知られていた。だが、日本の自生種では1~2度しか上がらないとされ、ほとんど研究されていなかったという。
 研究チームが宮崎や鹿児島に自生する「サイカス・レボルタ」と呼ばれる品種のソテツの雄花を、温度の違いが色でわかるサーモグラフィーカメラで観察。最高で30度を超える発熱を確認した。細胞を調べたところ、通常より断面積が10倍近く大きなミトコンドリアを見つけた。酸素を取り込む過程で発熱しているとみられるという。
 研究チーム代表で、同大農学部の稲葉靖子准教授は「ローカルな品種で世界的な発見をしたことは、地方大学の研究者として誇らしい。研究が進めば、寒冷環境での農作物栽培の効率化などにつながる可能性がある」と話している。
 研究結果は3日、米植物科学誌「プラント・フィジオロジー」に掲載された。

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